
本日は、私の持論が結構入ります。
と、いうのは、このボイストレーニングというものは、分野によっては数学のように、○○=これ! というような正解がないものがあります。
歌や演技などは特に、はっきりとした答えがありません。
だから面白いのか……
だから難しいのか……
どうとらえるかは人それぞれです。
そして本日お話しようとしているのは、そのはっきりとした答えがないものの代名詞といってもいいんじゃないでしょうか(笑)
「表現力」
本日は、私の持論満載になるかと思いますが、この表現力について語っていこうと思います。
表現力ってなに?
なんなんでしょう?
字を読む限りでは、「表現」をする「力」
あ、表現にもいろいろありますが、本日お話するのは「声の表現」に絞りますね。
結論を言うと……
私が出した答えとしては、「表現者(自分)が伝えたいイメージを相手にしっかりと伝えられる能力」
これを表現力というのではないか、としました。
ここまでは良いです。おそらくあなたとそんなに違いはないと思います。
で、ここからが大事。
じゃあ「表現力がすごい人」って何をやっているの?
どうやったら「表現力がすごい人」になれるの?
私、数年前にかなり悩みました。
色々試したり、色んな歌やお芝居、トークを聴きました。
そしてこれも私なりに1つの答えは出しました。
それは、「結果そうなっている」ということが大事!
……??
意味不明ですね、すみません^^;
ご説明します。
あなたが一番表現力がすごいな! こんな表現力がほしいな! と思うアーティストさん、俳優さん、声優さん、タレントさん、とまぁジャンルはお好きなジャンルで良いです。考えてみてください。
その方の表現力、何がすごいですか? どんな部分がすごいのでしょうか?
……
数年前のこの表現力迷宮入り時代の最初に考えたのは、例えばビブラートがうまい! 息の抜き方がうまい!
でもそういった技術の部分というより
なんかよくわからないけど雰囲気がすごい!
みたいなことを考えました。
早速自分で試してみました!
ただ、ビブラートを同じようにかけても、同じように息を抜いても……雰囲気は出てこない……。
それどころか、なんかむしろ嫌味な歌というか、表現になっている気がしました。
そして、その後もいろいろ迷走しましたが、ある日かなりベテランの表現者さんとお話する機会があり、思い切ってこの疑問をぶつけてみました!
そうしたところ……
「やり方なんて考えても嫌味な表現になるだけ。もっと根本の部分を考えてやれば勝手に感情は出てくるものだよ。人間って日常生活そうしてるでしょ?」
……
な、なるほど!!!
考える視点が間違っていたことに気が付きました。
確かに、日常生活で嬉しくなろうと思って嬉しい表現をする人はいません。
悲しく見せようとして、悲しくなる人もいません。
何かがあったから悲しくなり、そしてそれを見た人は何かはわからなくてもその雰囲気に感情を動かされる
人は相手が何を考えているかはわかりません。
ただ、雰囲気を悟り、感情を動かされるものなのです。
例を出しますね
私が体験したことです。
先日、ある表現者の方の舞台を見ました。
全て終わり、その方は最後に少しだけ語らせてほしいと言い、話し始めました。
この場所に立つことが夢だったということ。
そして、そんな夢を語って一緒に始めた仲間が、数年前に他界してしまったこと。
その仲間に、今、お礼を言いたいということ……。
その方の話を聞きながら、私はとても感動してしまいました。
当然私は、その方の他界されたお仲間を知ってはいませんし、どのようなことがあったかもわかりません。
そして、その話をされた方の語尾がどうとか、声の大きさがどうとか、そこらへんも聞いてはいません。
ただ、感情を聴いたのです。
さて、話を戻します。
表現力がすごい人になるためにはどうするか、それは……
「想像」
歌であれば、まずしっかり歌詞を読みましょう! そしてその歌の主役はあなたです! あなたがその歌詞を心から伝えるのです!
例えば、「暑いあの日~」という歌詞があったとします。
あなたの「暑いあの日」を思い出しましょう。
その日に何がありましたか? どんな楽しいことをしましたか? 悲しいことはありましたか?
こんなことを動画のように頭の中に浮かべてみてください。
そしてその気持ちを素直に出してください。
これだけで、すでに「あなただけの表現」ができているはずです。
雰囲気を作ろうとしたわけではない、これがさきほどお話した、「結果そうなっている」です。
(私がレッスンをするとき、表現力を上げるトレーニングとして朗読を推奨しています。その状況を想像し、気持ちの入った朗読を音符に乗せれば、素晴らしい歌になるという寸法です^^)
私とあなたが同じ歌詞、同じメロディーの曲を歌ったとしても、「想像する絵が違い、その時の感情も必ず違う」だから発声される声の表現も必ず違うものが出てくるはず!
そしてこれが、タイトルで書いた「個性」だと私は思っています。
これが、表現力の木で言うところの根っこの部分だと思っています。
そして、その根っこに幹や枝をつける。この幹や枝が発声や技術の部分です。
当然、素晴らしい木にするには、どちらかだけではいけませんね。
そのため、「表現力」と「技術」は両方しっかりつけていかなければいけないということです!