大きな声が出ない・声が小さい

大きい声が出ないのはなぜ?

大きい声が出ない原因は、大きく分けて2つあります。

技術的な原因

メンタルの状態が原因

 

①技術的な原因

そもそもどうやって大きな声を出したらよいかわからないという場合です。大きな声をどのように出したらよいかわからない、という方は結構多くいらっしゃいます。

「大きな声なんて、声をはって、思い切り出せば出るでしょ!」と、言ってしまう方もいらっしゃるのですが、これは間違いです。そもそも声をはるというやり方がわからない方に「声をはれ!」というのは、英語を話せない人に「英会話なんてニュアンスでできるでしょ!」というくらい無謀なものです。

 

トレーニング方法

「大きな声を出す」という方法を順序を追って体験していただきます。大まかな流れをあげますと……

①呼吸(腹式呼吸)

②腹式で吸った息を腹式で遠くに向けてはく

③腹式からの息を声に変えていく

④息を声に変えることを実感できたら響きを増していく

⑤声の方向性、距離感を掴んでいく

という流れが王道パターンです。

技術的な部分のお話で言うと、大きな声を出せない原因で比較的多いのは、『強い息をはけない』という事です。「え?息なんて誰てもはけるでしょ?」と思われるかもしれませんが、「息を強くはききる」という動作は、慣れていないとできないことが多いです。そしてこの動作こそ、大きな声を出すためには必要な動きなんです。

 

ろうそくブレス

トレーニングの一例です。これは、息を強くはけない、または安定しないような場合によく行うトレーニングです。

やることはとっても簡単。「息を吹いてろうそくの火を消す」という内容です。レッスンでは実際のろうそくを使う事は少ないので、イメージをしてやっていただきます。目の前にろうそくがあり、そこに火がついているイメージです。バースディパーティーの誕生日ケーキなんかを想像していただけるとやりやすいかもしれませんね。

①目の前に誕生日ケーキがあります

②そのケーキにはろうそくが1本立っていて、火がついています

③腹式呼吸で息を吸って、そのろうそくの火を吹いて消しましょう!

やることはこれだけです。注意点としては息をはく時にしっかり腹式呼吸ではくことです。

これができたら、どんどんろうそくまでの距離を離したり、ろうそくの本数を増やして行きます。そうやって、「腹式呼吸からの息を強くはく」という事を習得します。

 

メンタルの原因

大きな声を出せない原因として、「心(メンタル)の状態」が原因になってくる場合もとても多いです。

メンタルと言うと重く聞こえてしまうかもしれませんが、「大きな声を出すのは恥ずかしい」「なんか抵抗がある」というような内容も心の状態と言えます。実際こういった、「なんか抵抗がある」「なんとなく恥ずかしい」という原因で大きな声を出せない、という方は非常に多くいらっしゃいます。

日本人は感情をあまり表に出さない文化があると言われます。その影響なのか「人前で大きな声を出すのは恥ずかしいこと」「静かにしていることが良いこと」というような固定観念が根付いている場合もあります。小さな子供はそういった恥ずかしさなどがないので、大きな声が簡単に出るわけですね。

また、普段は大きな声を出せても、「特定の場面だけ出せない」という方もいらっしゃいます。多いのは「人前で行うスピーチや挨拶」などです。これに関しては「緊張」が色濃くかかわってきます。緊張についてはこちらでご紹介しています

 

トレーニング方法

メンタルの原因は、技術的な原因以上に、その方の状況という部分で変化するため、テンプレートのような決まったトレーニング方法はありません。その方の状況、原因に合わせてトレーニング内容も変化します。

一例を挙げますと……

「大きな声を出すという事がなんとなく恥ずかしい」

原因:大きな声を出す=恥ずかしいという認知になっていること

改善方法:大きな声を出すこと=恥ずかしいことではないという認知に考え方を変える

このように書くとシンプルなように見えますが、「なぜ大きな声が恥ずかしいと思うのか」「なぜ恥ずかしいと思うようになったのか」という根底の部分は、そのお悩みを持つ方によって必ず違います。そのため、その部分をご自身で気づいていただき、その上で認知を変えていっていただく必要があります。

ゴール(結果)には必ずスタート(始まり)があります。人間の行動も同じです。大きな声が出せないというのは結果ですので、始まりの部分を変えてあげる必要があるのです。逆に言えば、この始まりの部分を変えることができれば、結果も必然的に変わってきます。

トレーニング内容はお悩みの方の状況に合わせたトレーニングを行いますが、認知行動療法やマインドフルネス等の手法を用いてトレーニングを行う場合もあります。

 

個人の原因に合わせたトレーニング

大きな声が出せないという結果の原因は、個人個人の状況によって変わってきます。

技術とメンタルを組み合わせて考えると、それこそまったく同じ原因という方はいらっしゃらないかもしれません。

このように、声が小さい・大きな声が出ないという結果は一つだったとしても、そこに行きつくまでの原因が人それぞれなのです。せっかくトレーニングをしたのにいまいち結果が出ない、効果を実感できないという場合は、そのトレーニングがあなたに合っていないという可能性があります。

トレーニングメニューを決める際は、必ずあなたの状況を改善するためのものでなければいけないのです。

 

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